生地温泉たなかやは、上杉謙信ゆかりの霊験あらたかな鉱泉を加熱しており、神経痛や足腰の痛みに効果があるそうですぞ!湯に浸かって足の痛みがとれ、体も軽くなった者達が忘れていった杖が何十本と宿に残っているそうじゃ。じぃもさっそく試してみようかのぉ。
上杉謙信を病から救った生地の霊泉
戦国時代、長尾影虎(後の上杉謙信)がこの地に立ち寄ったとき、脚気を患い危篤状態に陥りました。家来たちが生地の新治(にいはる)神社に祈願したところ、老人が謙信の枕元に現れ『白鳩が杖に止まった時、その杖で地中を打てば清水が湧き出し、その霊水で入浴すれば必ず治る』と伝えました。教えの通り、何ヶ月間か滞在し、湧き出た霊水に身を浸し続けていると、謙信の病はみごと完治したそうです。
その後、同じ戦国時代を下った頃、真言宗の一乗上人という僧がこの霊泉の効能が高いと聞きつけ、村人に命じて浴場を開設させました。一旦は廃絶したものの、明治44年、生地温泉たなかや初代・田中菊次郎によって再建され、現在に至っています。
明治時代の詩人・田中冬二もたなかや縁の人でした。冬二は子供の頃に両親を亡くし、父の実家であるたなかやに預けられました。
彼はこの地を愛し、少年時代の眼に焼き付いた景色を元に『ほしがれいをやくにおいがする ふるさとのさびしいひるめし時だ…』で始まる有名な詩”ふるさとにて”を作りました。たやなかやの中には、田中冬二の原稿や本、資料などを集めた資料館”ポエムふるさと”があり、自由に入ることができます。
四季折々に楽しめる庭園
生地温泉たなかやの庭園は、広い池と季節ごとに楽しめる木々が配置されており、池のほとりには茶室があります。大浴場からは初夏に竹林、冬に雪景色。春には女性浴場から満開の大きな梅の木が楽しめます。庭園には小道が造られているので、池の周りをぐるりと散歩するのもおすすめです。
庭を囲むようにある各部屋は、昭和初期の佇まいを残す旧館、庭園を眼下に見渡せる本館。数奇屋風で広く落ち着いた雰囲気の新館離れ”菊芳庵”からは、庭を一望できます。また、離れに向かう廊下の大きな窓からの風景も、さながら額縁の中の絵画のように圧巻!!
それぞれ趣の違った景色を楽しむことができるため、部屋を指定される常連の方が多いというのも納得です。
黒部漁港からの新鮮な海の幸
たなかやは、黒部漁港のすぐそばにあるので新鮮な魚介類が運ばれてきます。また、たなかやの下から地下水が大量に海へと流れ込むため、酸素や栄養分の多い生地沖の魚は特に美味しいそうです。生地自慢の味は、鰤を使ったお雑煮”越の浜汁”。鰤の脂をほどよく落とした、あっさり味が一番の人気です。他にも田中冬二が詩に詠んだ“干しかれいの一匹焼き”もパリパリとした食感で喜ばれます。
他にも日本海の恵みである蟹、鰤、甘エビ、バイ貝をはじめ、富山湾自慢の白えびは春から夏にかけて、ホタルイカは3月~6月にかけて味わうことができます。
ちなみに地下水は、浴場入口に”生地温泉の清水(しょうず)”として湧き出ており、口にすることができます。
歴史ある霊泉、美しい庭、新鮮な料理に美味しいお水。すべてをひとつの宿で体感できるのは、たなかやさんだけですよ~!!
〈温泉概要〉
泉質 塩化物泉
効能 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻ひ、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔病、冷え性、疲労回復、健康増進、切り傷、やけど、皮フ病、婦人病 など
〈施設案内〉
大浴場「汐の湯」(男女各1)、家族風呂
日帰り入浴(営業時間 13:00〜21:00 600円)
【生地温泉 たなかや】
黒部市生地吉田新230
TEL 0765-56-8003
ホームページ http://www.ikujionsen.com/
(2015年1月23日)