黒部藩で取材させていただいた藤の湯さんが2016年10月15日をもって閉店されました。
藤の湯さんは閉店されてしまいましたが、黒部の銭湯文化の記録として、黒部藩ではこの記事は残していきたいと思います。
看板のある細い道を入っていくと、昔ながらのたたずまいで迎えてくれますぞ。
昔ながらのお風呂屋さん
藤の湯が開業したのは昭和29年(1954)のこと。この年は、桜井町と生地町が合併して黒部市ができた年です。かつてはここ三日市だけでも5軒の銭湯があったそうですが、現在あるのは藤の湯だけ。初めての人にはちょっと分かりにくい場所かもしれませんが、看板を目印に細い道を入っていくと、懐かしさいっぱいの銭湯の入り口があります。下足箱には木札、引き戸の前には何故かシャアザク・・・。番台は脱衣室のほうではなく、待合室側に向いているので、女性にも安心♪ このフロント方式は、先代がいち早く取り入れられたものだそうです。そして脱衣室のロッカーは、今ではもうあまりお目にかかることのできない、差し込み式のカギ。ほかにも時代を感じさせるマッサージチェアや、ケロリンの黄色い風呂桶など、銭湯ならではの物がたくさんあります!
古さゆえ、設備の調子が良くない日もあるのですが、「このままがいい。」というお客さんの声に支えられ、ずっと変わらずに歴史を重ねてきました。
ドキドキ☆銭湯新発見
藤の湯には男湯・女湯それぞれ3つの浴槽があって、サウナや「全身美容シャワー」なるものもあります。ちなみにサウナを設置したのは、藤の湯が新川地区で初めてだったんですよ! 銭湯といえば「壁に富士山」をイメージするかもしれませんが、藤の湯は窓の外にお庭を眺めるスタイル。洗い場の蛇口はお湯(約60度)と水(約20度)が別々、シャワーは適温(約36度)のお湯が出る固定式となっており、イマドキの入浴施設に慣れていると、この古さがかえって新鮮なんです! 常連さんはややぬるめに設定されている泡風呂で体を慣らしてから、少し熱めの白いお風呂に入られるそう。マッサージ風呂(ジェットバス)の勢いの強さは、ほかのところに負けない!ということで、刺激の強いのがお好みの方は、ぜひお試しあれ。始動させるボタンが玄関チャイムのようですが、押しても音は鳴りません(^-^) こんなところにも遊び心を感じます♪
裸の付き合い
藤の湯では、薪で窯を温めた後、油を燃やしてお湯を沸かします。水は地下から湧き出る黒部の名水。沸かし湯ながら、ぽかぽかあったまると評判です。経営者の中田宜臣さんは毎日のようにお客さんと一緒にお風呂に浸かり、世間話に花を咲かせるそうで、「ほかの商売と違って、銭湯は裸でお客さんとコミュニケーションできる場所。黙ってお風呂だけ入っていく人もおられるけど、何か会話のきっかけを作れたら。」とさまざまな企画も考えておられます。
気軽にちょっと立ち寄れるまちの銭湯は、ご近所のお年寄りや部活帰りの少年たちなど、さまざまな年代の人たちが集まり、一緒にお風呂に入ることで絆を深めることができる場所。気取らない会話の輪に加われば、ほかでは聞けない地元のニュースが耳に入ってくるかもしれません。ローカルな魅力が満載の藤の湯に、いっぺん来てみられ♪
ゆうなみ施術院in藤の湯
銭湯に入って、カイロプラクティックが受けられる!
月に1回、ゆうなみ施術院(愛知県北名古屋市)の出張施術会が開催されています。
○場所:藤の湯
○料金:4,000円(お風呂チケット+全身整体1時間[説明10分程度含む])
○時間:14:00〜19:00の間
○予約制
開催日時など、詳しくは藤の湯Facebookでご確認ください。
https://www.facebook.com/kurobe.fujinoyu
〈施設案内〉
浴場(男女各1)
2階に和室宴会場(お座敷こもも)あり。※有料。事前予約が必要です。
【藤の湯】
黒部市三日市996-1
TEL 0765-52-0457
営業時間 14:00~22:00
定休日 火曜日
入浴料 大人(12歳以上)400円/中人(6歳以上12歳未満)120円/
小人(6歳未満)60円
(2013年11月15日)