夏の伝統行事
黒部市の東布施地区には川を舞台とした夏の伝統行事が2つあるがです。7月末に行われる「中陣のニブ流し」と、8月7日に行われる「尾山の七夕流し」で、どちらも飾り付けられた舟や人形などを子どもたちが地元の川に流すというもの。江戸時代の末には行われとったらしいがですけど、いつから始まったがかもはっきりしないほど昔から行われとるお祭りながです。
ニブ流しと七夕流しは、ともに平成30年(2018)に国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定され、5か年をかけて記録作成のための活動が進められとるがです。主役となる子どもの数が少なくなり、参加人数も減っとるそうながですけど、飾り付けなどは親御さんたちが手伝ったりして年々豪華になっとるとか。「自分たちの時代で終わらせてはならない」という思いで、地区の皆さんで協力してお祭りを盛り上げようと頑張っておられるがです。
中陣のニブ流し
ニブ流しでは、麦わらを束ねて小さな舟を作り、それを色紙や提灯などで飾り付けます。「ニブ」の語源には諸説あり、「荷舟」や「新舟」、眠気や睡魔を表す「ネブタ」などが考えられとるがですけど、はっきりとしたことはわからんがです。現在は、7月の最終日曜日に開催されとりますが、もともとは7月31日に行われておりました。娯楽もなく農作業に明け暮れとった時代、この日だけは仕事を休んで装飾した舟を作り、子どもたちに持たせて川に流し、子どもの健やかな成長を願うとともにその華やかな雰囲気を村のみんなで楽しんだのではないか、と言われとるがです。
昭和30年代、ニブ流しの舟の材料である麦を栽培しなくなったため、お祭りが数十年に亘って途絶えてしまった時代がありました。しかし、記録として残っていた写真や、子どものころに参加していた人たちの記憶を頼りにニブ流しを復活させ、再び村を挙げての行事として定着してきたがです。起こりについては不明なことも多いがですけど、小さな子どもたちも交えて舟を作り川で流す姿は、昔と変わらず次の世代へと伝統が継承されとるがです。
【中陣のニブ流し】
日時:令和元年(2019)7月28日(日)18:00頃~(毎年7月最終日曜日)
場所:大谷川(黒部市東布施地内)
尾山の七夕流し
日本各地に七夕(人形流し)の行事はあるがですけど、尾山の七夕流しはちょっと変わっとるがです。特徴的なのは竹と和紙で作った「姉様(あねさま)人形」で、この人形を板の上に立てて、その周りは色紙に切り込みを入れて網のように垂らした「キリコ」で飾り付けます。夏休みになると、女の子たちは姉様人形を作り、男の子たちは舟や行灯(あんどん)を作ります。大人たちも、七夕当日に向けて川掃除をしたり七夕飾りを立てたりして準備し、地域全体でお祭りの雰囲気を盛り上げていくがですって♪
「手間がかかるし準備が大変」とは言いつつも楽しみにしている方々も多く、当日は人形を川へ流す前に、手押し車に載せて町内を一巡りするがだとか。笛や太鼓の演奏も加わってますます賑やかになるがです。
20時30分頃から、いよいよ川流しが始まります。子どもたちが自分の人形や舟にローソクを灯して川に入り、一列になって歩くがです。アットホームな雰囲気のなか、お祭りはクライマックスを迎えるがです。
【尾山の七夕流し】
日時:令和元年(2019)8月7日(水)20:30頃~(毎年8月7日)
場所:泉川(黒部市東布施地内)
(2019年7月23日)