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富山・黒部・宇奈月・魚津・入善・朝日の観光 旅の見所

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不思議な存在感が魅力の東山円筒分水槽

日本一美しい円筒分水槽と話題に

宮野山から見下ろす黒部市

ここ数年、インターネット上で魚津市のとあるスポットが話題になっとるがです。魚津の市街地から片貝川の上流に向かって車で約15分、片貝川右岸に広がる田んぼの端に大きい水瓶のようなものが見えて来るがですけど、それが日本一美しい円筒分水槽と言われる東山円筒分水槽ながです。
傍に近づくと、まずザーッと勢いのある水の音と水量に圧倒されます。ちょっこし大きめな声でないと、会話が聞き取りにくいくらいながですよ。次に円筒分水槽全体を見渡せる場所に登って眺めると、直径9.12m、高さ約2.5mの美しい円形の水槽が目に入ってきます。水槽の真ん中には目玉の様な黒い穴があって、そこから水がこんこんと噴き出しとるがですけど、その水が円の縁から滝のように流れ落ちる姿は本当に美しくて、時間を忘れて見惚れてしまうがですよ。
ところで円筒分水槽から流れ出たこの水、左右にある水路に流れているようながですけども・・・そもそも円筒分水槽って一体何なんやろか?東山円筒分水槽について、管理・運営をされている魚津市土地改良区の吉田研士さんにお話をお聞きしました。「円筒分水槽とは、主に農業用水を公平に分配し送り出す水利施設です。東山円筒分水槽では天神野、東山、青柳の3地区へ用水を送水しています。各地区への配分量は、それぞれの田んぼの面積に応じて円周の比率で割合を出し、仕切りを設けて決めています。そうすることで、全体の水の比率が変わらず、(上流の水量の変化に影響されることなく)水が多い時でも少ない時でも、公平に水を分配することができるんです。」と、吉田さんは説明してくださいました。なるほど、円形だと一定の割合で、公平に用水を分配できるがですね。この形であるべき理由は、見た目の美しさとは違った所にあったがです。

各地区へとつながる用水路
円の縁から滝のように流れ落ちる水

じぃ:東山円筒分水槽は、全国にある他の円筒分水槽に比べて円筒の高さが大きいとか。その高さから水が溢流する姿が美しいと評判になっとるそうですぞ!

市姫:富山県には、魚津市に2つと上市町、南砺市にそれぞれ1つずつ、全部で4つの円筒分水槽があるがです。

片貝川と水争い

魚津市の地形は大変急峻(きゅうしゅん)で、奥行き約25kmの間に、海抜0mから標高2400m以上の山々が収まっとるがです。そんな地形は、人々に争いをもたらす事がありました。その昔、片貝川周辺では用水を巡る水争いが度々あったそうながです。急峻な地形を流れる片貝川は、急流河川なため、雨が降ってもすぐに水が海へと流れ出てしまいます。また、用水の取水口が各地域に点在しとったため、上流で水を多く取り込んでしまうと下流では水不足になるという事態に・・・そんな事が続けば、争いが絶えることはないちゃね。
そこで、取水口を一箇所にし、各用水路に公平に水を分配できるようにしようと、昭和13年(1938)に「片貝川沿岸用水合口事業」が着工し、黒谷頭首工(小さなダム)が作られることになりました。途中、戦争で中断もしたがですけど、昭和30年(1955)に無事完成。東山円筒分水槽は、その事業の一環として、昭和29年(1954)に作られました。これにより、片貝川周辺では安定した用水の供給が常に可能になったがです。さらに円筒分水槽は、その形状と仕組みから、誰の目から見ても明らかに公平に用水を分配できていると分かるため、水争いの解消をも、もたらせてくれたがです!

黒谷頭首工

施工後50年以上経ちますが、補強工事などを行いながら現在も用水の供給に貢献し、魚津の生活や農業を支えてくれています。「今まで、円筒分水槽を知らなかった人にも、この施設を通して、普段何気なく利用している水もこういう歴史があって使えているんだなと再認識してもらえれば嬉しいですね。」と、吉田さん。東山円筒分水槽は、水の大切さを改めて私達に教えてくれる存在でもあるがですね。

魚津市土地改良区の吉田研士さん

魚津の水循環遺産巡り

夕暮れ時の、東	山円筒分水槽

東山円筒分水槽は、田植えが始まる頃は水量が多く、田んぼに水を張ることがない冬期は、水量は抑えられとるそうです。ながで、水量が多い時に訪れたいなら、5月〜7月がオススメながです。時間帯によっては、夕日に照らされる田んぼと円筒分水槽を両方楽しめることもできて、なかなかの撮影スポットにもなるがですよ♪
東山円筒分水槽のすぐ側には片貝川が流れ、左岸には貝田新円筒分水槽、少し上流へ向かえば黒谷頭首工があります。これらすべて、魚津の「水循環遺産」に登録されとります。魚津市は水の循環が一つのまちで完結し、その水循環を一目で見渡すことができる世界でもまれな地域ながだそう。現在、その水循環に関わる様々なものを「水循環遺産」として選定・登録することによって、次世代に引き継ぐ取組がなされとるのだとか。東山円筒分水槽はもちろんのこと、それに関わる施設や自然を巡りながら、魚津の水循環を感じてみたってください!!

貝田新円筒分水槽

【東山円筒分水槽】
魚津市東山
アクセス あいの風とやま鉄道魚津駅から、車で約15分。 / 魚津市民バスの天神ルートで東山公民館前下車し、徒歩で約8分。
地図 GoogleMapで詳しくみる
お問合せ 魚津市土地改良区 ホームページ:http://www.tym-midori.net/uozushi/

(2016年6月20日)