漁師さんたちの浜料理
ぶつ切りにしたタラが頭からしっぽまで丸ごと入ったたら汁は、もともと浜で作られていた漁師さんたちの料理。朝早く(早朝3時!)から漁に出る男の人たちを送り出したあと、働き者の女の人たちは農業に精を出しました。山で畑仕事をし、船が帰ってくるのが見えたら山を下りて、浜で魚を揚げる手助けをして、大きな鍋でたら汁を作ったそうです。
かまどに塩水をくんだ鍋をかけ、新鮮なタラを手早くさばいて放り込む。味噌だけで味付けをして、煮立てたらできあがり。みんなで熱い汁をすすり、通りかかった人にも声をかけて一緒に食べることもあったとか。
作り方は簡単そうに思えますが、家で作っても何だか物足りない・・・。やっぱり本場・宮崎のたら汁が食べたくなってしまうのです。
浜の味は地元で食べるのが一番!寒い日にぴったりながです!暖まる~☆
宮崎村はタラのにおい
たら汁に入れるタラは、スケトウダラ。かつて宮崎村(現・富山県朝日町宮崎地区)では、湧いて獲れると言われるほど、よく獲れた魚です。いたみやすい魚なので、なかなか遠くまでは運べず、そのおいしさは地元の人しか味わうことができませんでした。
たら汁にするだけでは食べきれないので、どの家の前にも干物(干ダラ)にするためにタラが広げてあり、取り出したハラワタ(内臓)も、肥料として利用されていました。村全体に魚のにおいがただよい、「宮崎村はタラのにおいがする」と言われていたそうです。
現在では漁獲量も少なくなり、スケトウダラが宮崎港に水揚げされることもなくなりましたが、たら汁は宮崎地区自慢の食文化であり、大切に守り伝えられています。
おいしいたら汁は味噌にもこだわる
朝日町を走る国道8号沿いには、「たら汁」の看板がたくさん。ドライブインなどで、季節を問わず食べることができます。
今日訪れたのは、宮崎海岸のすぐそばにある、料理旅館有磯。出てきた鍋のふたを開けると・・・やったー!!念願のたら汁です!
「頭のところが一番おいしいですよ。」と言われ、おそれ多くも初めていただきました。(いつもは一番エライ人にあげているのです。)食べやすくはありませんが、確かにおいしい。味噌の味付けも、家で作っているのより、ちょっと濃いめな気がします。
「うちで使っている味噌は自家製で、塩分濃度は高めにしています。」そうか、味付けがしっかりしているから、タラのおいしさが際立つのか・・・。後になればなるほどタラのうまみも出て、ますますおいしくなるそうです。
海が荒れたらヒスイ探し
朝日町の宮崎地区と言えば、美しい海岸線が有名です。約4キロメートルつづく浜には小石がいっぱい。波打ち際にヒスイが打ち上げられていることもあり、「ヒスイ海岸」とも呼ばれています。消波ブロックのない自然のままの海岸が残されていて、見渡す限りの水平線。人工的な構造物のある海に慣れた目には、とても新鮮に映ります。
海は、まさしく「冬の日本海」という感じの景色で、雪も時々ちらつく寒い日でしたが、浜辺にはヒスイを探して歩く人の姿が・・・。本格的なヒスイハンターの人は、専用の長い杓子(しゃくし)を持っている、という話も聞いたことがあります。
海から打ち上げられる宝石なんて、ロマンチックですよね。一説によると、おとなり新潟県の糸魚川市にあるヒスイ峡から海へ流れてきた原石が、海岸に打ち上げられているとか。めったに落ちているものではないのでしょうが、海が荒れた翌日には見つかる確率が高いそうです。古代に思いを馳せ、美しい石を探してみては?
まさに冬の日本海!
迫力満点じゃ~!
藩の財政のためにも
ヒスイを探しださねば…!
「有磯」の米谷直樹さんにお話をうかがいました。ありがとうございました。
夏には海水浴も楽しめます!
料理旅館 有磯は、7月上旬の海開きの日から浜茶屋をオープンいたします。
透き通った海水は泳ぐのにもってこい。思いっきり楽しんで、浜茶屋「有磯」でひと休みしてください。
【料理旅館 有磯(ありいそ)】
富山県下新川郡朝日町宮崎3239-1
TEL 0765-82-0768
営業時間 【お食事】10:00~23:00(ラストオーダー 21:00)
アクセス 北陸自動車道 朝日I.C.より車で10分
ホームページ http://asahimachi.com/ariiso/index.html
(2011年1月14日)