【AM 8:30】
黒部太陽の守と市姫は、じぃの案内で優雅に黒部峡谷へ紅葉旅行に行く・・・
はずであった。
じぃ:良い天気でございますなぁ。
太陽の守:ほっほっほ! 晴れ男ながですちゃ!
じぃ:わたくし、宇奈月京黒がたっぷり、たっぷり黒部峡谷の旅をご案内させていただきます!
市姫:さすがにお山は寒いですぅ。昨日まで雪も降ってたし・・・でもほら、あっという間にとけちゃった。
出発の待ち時間に巻いてみよう! 黒部峡谷の案内が聞けます。
(姫がやると見せかけじぃにやらせる。)
じぃ:えぇ!? わたくしですか!?
【AM 9:00】
じぃ:いえ、姫! それではありません!! こちらにお乗りください!
市姫:そう怒るでない。ちゃんといい子にしとるから~。
じぃ:ちゃんと座っていてくださいませ。・・・初冬のひんやりとした風を顔に受け、わたくしたち一行は宇奈月を後にするのであります。なにより、わたくしの任務は、殿と姫さまに無事!「視察の任務」を果たしていただくことでございます。
太陽の守:おお! 動き出したぞ! 出発じゃ~!!
じぃ:まず渡るのは、新山彦橋でございます。かつての山彦橋は、現在歩道となっております。
市姫:橋の上から手を振っておる者が見えまする。なんだかうれしいのぅ。
じぃ:湖の対岸からも、手を振ってくれていることがございますよ。
市姫:湖も大きいがですぅ。
じぃ:あちらに見えるのが湖面橋。湖面に映える見事な赤い橋です。
市姫:父上~! お城が見えますぅ。でも・・・桜井城とは、ちょっと違いまする・・・。
じぃ:あれは「新柳河原発電所」でございます。お城のように造ってありますが、水圧を分散させるための形状として、円柱形になったそうでございます。ちゃんと理由があるのですぞ。
太陽の守:なんとぉ!「猿専用吊橋」ですとぉ!
じぃ:宇奈月ダムができたときにつくられたものでございます。ダム貯水後も対岸へ渡れるように、との心づかいです。
市姫:じぃのお友達の猿飛くんも助かるがですよぉ (^-^)
じぃ:対岸には黒薙(くろなぎ)からの引湯管も見えまする。宇奈月のお湯は、ここからもう少し上流の黒薙が源泉で、すべてそこから引いているのでございます。
市姫:じぃ! あれは何じゃ?
じぃ:あちらは、仏石でございます。
太陽の守:どこじゃ?・・・おお!赤い頭巾をかぶっておられて、お地蔵さまのようであるの。ありがたや・・・。
じぃ:岩の形が仏さまのお姿に似ているので、山に入る者たちはお参りをして通ったそうですよ。
じぃ:オープン車両は、車窓からの眺めも開放感がありますな~!
市姫:じぃ~、姫は寒いがですよぉ。
じぃ:おぉ、姫さま、天気は良くても、わたくしどもの乗っている車両は吹きっさらしですからねぇ。じぃがホッカイロの予備をお持ちしておりますぞ!
太陽の守:じぃ~、わしも寒いじゃあ。
じぃ:(・・・この親子は・・・やれやれ。)
(出平駅にて停車)
じぃ:姫さま、トロッコを動かせない冬場は、ほれ、あちらのトンネルの中を歩いて山を行き来するのですぞ。
市姫:・・・えらい(とっても)低いがですねぇ。
じぃ:ほっほ、姫さまは良くても、じぃはかがんで歩かなければなりませんなぁ
市姫:じぃ、どうしてトロッコ、発車せんがですかぁ?
じぃ:姫さま、峡谷鉄道は線路が一つなのでゆずりあいで・・・。
太陽の守:おぉ、じぃ、向こうからトロッコがまいったぞ!
じぃ:・・・ゆずりあいでございます。
太陽の守:今、「東鐘釣山」という看板があったぞ。どの山だったのじゃ。わし、うっかり見逃してしまったちゃぁ。
市姫:ひめもながですぅ(私もです)。
じぃ:・・・じぃが付いていながら、なんたる不覚。申し訳ないことでございました・・・。
太陽の守:まあよい。もうすぐ「鐘釣駅」に着くようであるな。
市姫:まことですか、父上さま!じぃ、なにかおやつはあるがですかぁ(あるの)?
じぃ:そ、・・・そうでございますね、いただきましょうね。