消防と防災の拠点
入善町にある「消防防災センター」は、消防署と防災センターの機能を持った複合施設で、平成27年(2015)に完成しました。車庫に消防車や救急車があるので一見すると消防署ながですけど、実は250人が収容できる多目的ホール、災害等での停電に備えた非常用電源、備蓄倉庫などもある防災の拠点施設ながです。
1階部分は入善消防署で、消防職員の皆さんが24時間体制で緊急出動に備えて待機しとられます。火災発生は近年減少しており、今は消防よりも救急での出動要請が多いそう。ですが、要請の割合に関係なく、職員の皆さんは出動がないときには消防・救急どちらの訓練や勉強会も欠かさずされとるがですよ。
平成25年(2013)には、黒部市・入善町・朝日町の消防本部が統合されて「新川地域消防本部」が発足し、消防体制の広域化が図られました。これにより、市や町の枠を超えて出動することができるようになり、一部の地域では通報から現場到着までの時間が短縮されたがだそうです。また、各消防署の救急車も消防車も台数が限られているので、同時に複数の現場へ急行しなければならないときも、お互いに連携して出動できるがです。
災害について学ぼう
消防防災センター館内の展示コーナーは誰でも自由に見学できるがです(観覧時間:午前9時~午後5時)。地震・台風などの自然災害が発生する仕組みや、全国の災害事例などがパネル等で紹介されており、災害について目で見て学ぶことができます。富山県では自然災害が少ないと言われとるがですけど、展示を見ていくと「災害はいつ起こってもおかしくない」と実感できるがです。特に、寄り回り波が入善町にも大きな被害をもたらした平成20年(2008)2月24日の下新川海岸(入善海岸)高波災害については、パネルでの展示のほかミニシアターで当時の映像を見ることができ、迫る波から逃れる人々の緊迫した様子が伝わってくるがです。また、海岸堤防を越えて町を襲った高波の高さ(9.49メートル)は階段吹抜けの壁に実際の高さで描かれていて、リアルにその恐ろしさを感じるがです。
家庭でできる防災対策を紹介するコーナーでは、防災グッズも展示。タッチパネル式の「防災診断テスト」もあって、学んだ内容を踏まえて自分の防災力をチェックできるがです。家に帰ったら、さっそく非常用持ち出し袋の中身を点検せんとね!
日頃からの備えが大事
館内を案内してくださった入善消防署長の小路毅明さんに、防災への心構えについてお話を伺いました。
「まずは、家族や隣近所といった小さい単位で、訓練をしてほしいと思います。非常時の対応について話し合うだけでもいいんです。富山県は太平洋側などに比べると災害に対する危機感があまりないようです。確かに自然災害は少ないのですが、すぐ近くに断層が走り、いつ何が起きるか分かりません。私たちの仕事は、災害が起きたときに現場へ駆けつけて人命救助、消火等を行うことですが、地震などの大規模な災害が起きれば、同時多発的に出動要請が入り、消防署の職員だけでは間に合いません。そうなったとき、最終的には隣近所でいかに協力して助け合うかということが大事です」
家族みんなが家にいるときばかりとは限りません。学校や勤務先、バラバラの場所にいるとき地震が起こったらどうするか? 外出先だったら? 連絡手段は?…などなど、普段から話し合うことで防災意識も高まります。被害を最小限に食い止めるために、小さな訓練の積み重ねが大事ながです。