畳屋さんの仕事は新しい畳を作るだけではありません。「表替え」や「裏返し」といった、古い畳を修繕してきれいにする仕事もあるがです。畑畳店さんでは基本的に修繕は晴れの日にしとられるそうで、その理由は「お客さんのところから預かってきた畳を天日干ししてあげたいから」ながです。長年使用していた畳は湿気を含んでいるので、おひさまに当てて乾燥させることで、長持ちするのだとか。こんなところにも畳屋さんならではの心遣いが感じられるがです。
注文があったら、リビングなのか客間なのか、どんなお部屋でどんな使い方をするのかをお聞きして、それに合うものを提案します。もともと丈夫な材料が使われていれば、それを活かして直すこともできるがです。「新しい畳にする場合、安い方がいい、と言われることもあるけれど、すぐ傷んでしまっては結局お客さんが損をする。実際に材料を見てもらって説明すると、ほとんどのお客さんが国産のしっかりした畳表を選ばれます」と隆志さん。長く使えるいいものを、という思いがお客様にもちゃんと伝わっとるがだと思うがです。
大きな災害が発生したときに全国の畳屋さんが協力して被災地へ新しい畳を提供する「5日で5000枚の約束。」というプロジェクトがあります。富山県内では8店が参加し、畑畳店さんも参加しとられます。
東日本大震災のとき、体育館などの冷たい床の上で避難生活を送らなければならない人がたくさんおられました。また、避難所に送られてきた畳は古くて汚いものが多かったがだそうです。この状況に、畳屋さんとして何とかしたいという思いからこの支援プロジェクトがスタート。事前に自治体と協定を結び、万一の災害時には新しい畳を作って被災地に届けるという取り組みで、平成28年(2016)4月の熊本地震の際には要請を受けて畑畳店さんからも畳を送られたがだそうです。
「床に直接寝るより畳の上のほうが快適だし、新しい畳の香りもいいでしょう」と隆志さん。もちろん災害はないほうがいいのですが、被災者の方たちの苦労をちょっとでも和らげることができたら…という畳屋さんの思いを形にしたこのプロジェクト。全国に同じ思いを持った畳屋さんがたくさんいらっしゃるということにも感動するがです!
畳(イグサ)には湿度を調節したり、空気をきれいにしたりする機能があるがです。でも、本来の材料とは別のものを使っていたり、作り方が良くなかったりすると、その効果はなくなってしまうがです…。本物の畳の気持ちよさは格別。どうせなら、ちゃんとした職人さんにお願いして、畳の良さを最大限に実感できるほうがいいに決まっとるがです♪
「ただ儲けようと思えば他のやり方もあるけれど、それでは二度、三度と仕事はいただけない」お客様のことを思って、いい畳を作り続けること。シンプルですが、それを徹底しているからこそ90年にもわたりお客様に信頼されるがですね。
お客様から「『畳は畑に頼め』というのが父の遺言」と言われたこともあるそうで、「その言葉が嬉しかった。信頼してくださるお客さんにこれからも応えていかないと」と良造さん。その思いを隆志さんに託して、一緒に畳を作り続けておられるがです。
【畑畳店】
富山県下新川郡朝日町平柳1040
TEL 0765-83-0344
http://hata-tatami.com
【「5日で5000枚の約束。」プロジェクト】
http://tataminoyakusoku.net/
(2019年4月27日)