獅子舞の国とやま
日本各地に伝わる民俗芸能「獅子舞」。その歴史は古く、飛鳥時代に大陸から伝わったといわれとります。元々は、お祓いや祈祷の儀式だったそうながですけど、それがいつしか民へと広がり、舞い踊ったり楽しんだりと芸能の要素が加わっていき、今の形になったがだそうです。(諸説あり)
富山では、春や秋の祭りに獅子舞を演じる地域が多く、全国でも屈指の伝承数を誇ります。2005年の県教育委員会の調査では、約1170件もの獅子舞があったとか!県西部では、胴幕の中に5〜6人が入る全国でも珍しいムカデ獅子、県東部では、胴幕の中に2人が入る二人立ち獅子が主流で、獅子の他に天狗が登場することも特徴的。また、獅子頭をすっぽりと被る越後型神楽獅子や、神輿行列の露払い役として先頭を練り歩く行道獅子などもあり、獅子舞の種類も多岐にわたっとるがです。
近年、過疎化の影響などで獅子舞の伝承が途絶えてしまう地域もあるなか、今回お話をお伺いした黒部市沓掛地区では、保存会を立ち上げられるなどして獅子舞の伝承に力をいれとられます。
子供達の晴れ舞台
沓掛地区の獅子舞は、9月の第4土曜、日曜の秋祭りに行われます。笛や太鼓のにぎやかなお囃子を町内に響かせながら、若連中の威勢の良い掛け声のもと、2日間でなんと230軒もの家々を1軒1軒回られるがです!
獅子舞に参加できるがは小学4年からで、小学6年で一旦卒業となります。でも、そのまま中学生、高校生になっても獅子舞に携わる人が多く、沓掛獅子舞の原動力になっとるがですよ。
沓掛では、小学6年になる男の子が自分の家を回る際、天狗として舞を披露します。子供が立派に演じる姿を見て、ご家族は大変喜ばれるがですって。子供達にとって獅子舞は、一生に一度の晴れ舞台でもあるがです。
獅子舞の練習は、取材で訪れた沓掛集落センターで行われます。「誰もおらんがに、ここに来たら笛や太鼓の音が聞こえる」と、なかなか怖いことをおっしゃるのは前団長の高村さん。(実際は、誰かしらが勝手に練習しとるだけだそう(笑))ここで、団長をはじめとする大人達に混ざり、祭りの1ヶ月前から子供達が厳しい練習に打ち込みます。今年、団長に就任された横田さんは「獅子舞は、気づいたらやっていた」と、子供の頃を振り返られます。練習がはじまってから、その厳しさを知るがですね。その厳しさを知ってもなお続けとられるがは、「やっていて楽しいから」と、高村さん。これには横田さんも同意なご様子です。厳しい練習にもまさる楽しさを語るお二人の笑顔からは、獅子舞をこよなく愛する気持ちがひしひしと伝わってきます。