負けがきっかけに
平成21年(2009)、教師を務めていた桶屋さんに再び転機が訪れます。3年間オランダの日本人学校へ赴任されることになったがです。オランダに向かわれる前、北日本新聞主催の「北日本将棋名人戦」で8連覇(通算19期のタイトル獲得)を達成され、名実共に県アマチュア将棋界のトップに君臨していた桶屋さん。通算20期目に手がかかるところでのオランダ行きは、大変残念であったそうですが、日本を後にされたがです。
桶屋さんが不在の間、名人となったのが中平寧さん。桶屋さんは、帰国から2年目の平成25年(2013)に、予選から臨んだ大会で中平名人への挑戦権を得ますが、決勝で2連敗し負けてしまったそうながです。周囲から「もう過去の人」と囁かれもしましたが、不思議と悔しさはなかったそう。
そして翌日、突然ひらめき「子供達に将棋を教えよう」と思われたそうながです。普通、負けると落ち込んでしまいそうながやけど、そうならずに前向きな気持ちになれたそうながです。
その時、桶屋さんの頭の中に浮かんだのが、高校時代にお世話になった飛世さんの将棋道場のことでした。
将棋の楽しさ、醍醐味を伝えたい
高校時代、桶屋さんは魚津市にある飛世将棋道場に通われとったそうながです。道場を運営していたのは飛世敏行さん。自宅を無料開放し、毎週土曜に将棋道場を開かれていました。桶屋さんは、土曜の授業が終わると家には帰らず、そのまま道場へ行き、夜遅くまで夢中になって将棋を指したそう。将棋好きな大人達が集まる空間で、自分がどんな手を指したらいいのか考え、将棋盤の上で自分を表現していく。将棋を指すことは「自分なりの表現活動」と、桶屋さんはおっしゃいます。この道場で、将棋の楽しさと醍醐味を教わった経験が、将棋道場を開かれるきっかけにもなったがですね。
選手として活躍される一方、指導者としてのこれからも見据えていらっしゃいます。「今後は、今までお世話になった世話役の方々の後を継いでいこうと考えています。人と人とを繋げる将棋の良さを、将棋の楽しさを一人でも多くの人に感じてもらえれば」と、桶屋さん。
小学生が対象の飛世将棋道場KUROBEですが、「どなたでも気軽に来て楽しんで頂きたい。道場破りもお待ちしております(笑)」と、来る者拒まずの将棋道場は、老若男女問わず、誰もが膝と膝を付き合わせて、真剣勝負できる素敵な空間ながです♪父親の気まぐれな一言から始まった将棋が、今では桶屋さんと沢山の人を繋ぐ架け橋になっています。
「飛世(とびせ)将棋道場KUROBE」
日時:毎週木曜日 17:30〜21:30
場所:生地公民館(黒部市コミュニティセンター)
黒部市生地中区361
電話:0765-57-1011
料金:無料
対象:小学生(一般参加も可)
HP: とやま公民館学遊ネット「黒部市立生地公民館」
(2017年11月20日)