気まぐれな一言から
昨年11月、黒部市生地の公民館で「飛世将棋道場KUROBE」がスタートしました。将棋好きの子供達が集まり、和気あいあいとした雰囲気で行われとります。夏休みには、都会から帰省してきた子供達が、どこからともなく噂を聞きつけて、地元の子供達と一緒になって将棋を指したとか。最年少でプロになった藤井聡太さんの活躍もあり、最近は子供達の間でも将棋への関心が高まっとるがですよ♪
「将棋は年齢の垣根を越えて、子供から年配の方まで、多くの人が一緒になって楽しめるコミュニケーションツール」とおっしゃるのは、将棋道場で指導する桶屋郁夫さん。現役の選手として活躍されている、県アマチュア将棋界の実力者ながです。桶屋さんが将棋をはじめられたがは小学生の頃。お父さまからルールを教わっとったものの、特に興味もなく過ごされていたそう。そんな桶屋さんに、中学2年の冬、転機が訪れました。お酒に酔ったお父さまが気まぐれに「郁夫、将棋指すぞ!」と勝負を挑んできたがです。当時は、反抗期真っ只中。しぶしぶ相手をした桶屋さんでしたが、結果はお父さまの勝ち・・・。
「父親に負けたのがとても悔しかった。しかも相当酔っ払っている相手に(笑)」と、桶屋さん。その後の対戦で勝つことができたそうですが、一日一局の対戦を繰り返すうち、段々と将棋にハマっていったがです。
初の全国大会優勝
平成27年(2015)全国支部名人戦に出場した桶屋さんは、県勢(一般)で初の全国大会優勝を成し遂げられました。その年、周りからは「絶好調!」とも言われとりましたが、その実、裏では追い詰められ、苦しい状況の中でご自身と戦っとられたがです。
桶屋さんが、ご自身を高めるため導き出した練習法があるがです。それは「1日最低5時間、棋譜並べや詰将棋を解くなどのトレーニングをすること」。
しかし、小学教師を務めていた当時、40人学級の担任かつ市教組の書記長という大役を務め、理想とする練習も時間も程遠い状況が続いていたそう。平日は23時過ぎの帰宅は当たり前、土日も出張等で多忙な日々が続いていたとか・・・。でも、「人間追い詰められると真剣味が増すもので」と、西日本大会で優勝後の決勝までの1ヶ月間、フラフラになりながら帰宅しても、食事後の約1時間は、どんなに眠くても集中して棋譜並べに取組んでいらしたがです。時には着手する姿勢のまま眠っていたこともあったとか!
「一度、全国優勝したことで満足せず、選手としてこれからも頑張っていきたい」と、桶屋さんはおっしゃいます。