北陸新幹線を支える黒部の技術
平成27年3月14日に開業する北陸新幹線。黒部川扇状地や新川の地を、青と白のスマートな「E7系/W7系」の車両が走ります。その新しい車両に、地元黒部市のメーカーの部材が使われとるがです。車両ドアを囲う「気密ゴム」。今回は、これを製造されとる北星ゴム工業株式会社の松永正美技術部長にお話を伺いました。
同社が製造する気密ゴムは、新幹線一車両に4箇所、12両連結車両では計48箇所に設置されています。これは車体とドアの隙間を埋めるために、ドアを囲うように取り付けられているひも状のゴムで、社内や車体外部からは見えませんが、新幹線車内の温度や湿度、気圧を保つとともに、風切り音や空気漏れなどを防止し、乗客の快適な旅をサポートしとるがです。北星ゴム工業さんには2000年に商社を通じて依頼があり、最初は東海道新幹線や山陽新幹線、九州新幹線で走る「N700系」での修復にあたっていましたが、そこでの安定した技術が評価され、さらに進化した車両「N700A系」では開発時から気密ゴムの分野で参加されたがです。
長年培った技術が生む気密ゴム
最新の技術が結集された新幹線での気密ゴム…と聞くと、時間を掛けて開発された新しい技術のように考えられがちですが、実は北星ゴム工業さんにとっては長い間に培われた「ごく当たり前」の技術だったがです。新規の製造依頼ではありましたが、従来の成型の延長線上にあるというイメージで、特別難しいものとは捉えられなかったようながです。
北星ゴム工業さんは、昭和5年の創業の頃からゴム製の長靴を作っておられましたが、昭和47年に工業用のゴム製品へと全面的に転換されました。つまりは長靴製造での切り貼りする技術などが引き継がれ、新幹線での気密ゴム製造につながっているともいえます。ドア回りを囲む気密ゴムは、1本の連続したものではなく上部でつなげられています。そのつなぐ作業は機械作業で製造されたものでは難しく、熟練した技術による手作業で行われとるがです。
新幹線の気密ゴムは、長年にわたり培われた技術と、熟練の技が合体して作り上げられたものながですね!!