朱鷺との出会い
沢田さんが歌のボランティア活動をはじめて10年が経過したころの平成20年(2008)、黒部市に朱鷺が飛来して、多くのマスコミを賑わせました。朱鷺について連日報道される中、沢田さんは「そんなに貴重な鳥が黒部に来たからと言って、すぐに見られるわけがない」と、あまり関心が湧かなかったそうながです。
そんなある日、市内を運転していると、そこには多くの車と人が田んぼを取り囲んどりました。「いったい何があったのだろう…?」と、車を降りて人々の視線の先に目をやると、そこには国の特別天然記念物である朱鷺が!他には表現しようのない美しい朱鷺色の翼をもった鳥に、沢田さんは一瞬で魅了されたがです。いつもポケットに入れているコンパクトデジタルカメラで撮影を試みますが、広い田んぼの端にいる朱鷺を小さなカメラで撮ることは困難。どうしてもその感動を記録したいと思った沢田さんは、それまで使ったことがなかった連写機能付きのデジタル一眼レフカメラに挑戦することになったがです。
同じ目線で撮影
それまで景色や花など動かないものを撮ることが多かった沢田さんにとって、慣れない動物の撮影は困難をきたしました。最初はまわりのカメラマンに習い、三脚にカメラを固定して朱鷺の撮影に挑んだがです。しかし、三脚を使うと、どうしても高い目線から朱鷺を見下ろしての撮影になります。そこで、朱鷺と同じ目線に立ち、朱鷺と同じものを見、餌のミミズを捕まえたら「おいしいね」と、心の中で話しかけ、まるでわが子のように見守り続けました。そうすると、自然とカメラを手で持って撮影するスタイルへと移り変わっていったがだそうです。
朱鷺の顔はまじまじと見ると、赤い顔に赤い目でちょっぴりコワイがですけど、朱鷺へ対する愛情の深さが写真となって映し出されているのか「沢田さんの朱鷺の写真って、優しく見えるね」とおっしゃる方も多くおられるがですよ。「朱鷺と同じ目線に立つために地面に寝そべって撮影することもあるけど、私の場合は他の人より身長が低いのがいいのかも」と、沢田さんは笑い飛ばされるがです♪
人生を大切に
最近では朱鷺の写真展だけでなく、白い猿や熊など、黒部で偶然出くわした珍しい動物の写真展なども開催している沢田さん。その他にも、実際に訪問した北方領土の写真展に協力するなど、アマチュアカメラマンとして活躍する中、平成23年(2011)には歌のボランティア活動が300回に達しました。現在では沢田さんの持ち歌は4曲に増え、歌手名は黒部みどりと名付けました。沢田さんが作詞した「黒部トキメキ音頭」は、新たな黒部のご当地ソングとしても注目を浴び、トキメキの故郷である佐渡市を訪問して披露するなど、活動の幅を県内外に広めるまでになられたがです。歌の合間には、沢田さんならではの経験を活かした元気なトークで会場を盛り上げ、多くの人を喜ばせとられるがです。
沢田さんは若いころよりも年を重ねてから尚、精力的に活動の輪を広げてこられました。「人生を大切に生きてゆきます…」一度しかない人生を精一杯、大切に生きていくという、両親との約束が沢田さんの原動力になっているのかもしれません。何事にも笑顔で前向きに取り組む沢田さんの姿勢は、周りにいる人にも勇気と希望を与えとられるがです。
これからも黒部に明るい話題を提供していただけることを期待しとりますね♪沢田さん、ありがとうございました!
(2013年02月08日)