子どものころからのあこがれ
今年で3回目を迎える「宇奈月モーツァルト音楽祭」。宇奈月温泉で音楽祭が開催されるようになったいきさつを教えてもらおうと、初代実行委員長の能勢実さんを訪ねました。能勢さんは宇奈月温泉街で、「モーツァルト」という喫茶店を営んでおられるがです。お店はモーツァルトの生家をイメージしてつくられ、店内にはいつもモーツァルトの曲が流れとるがですよ♪
「小学生のとき、『サウンド・オブ・ミュージック』を見て、映画の舞台になっているザルツブルクと、宇奈月の風景がすごく似ていると思いました。遠くに見えるアルプスの山並みとか、山あいを流れる川の感じとか、そっくりでしょ。」ザルツブルクはモーツァルトの生誕地として知られる音楽の街。能勢さんに見せてもらったザルツブルクの写真は、宇奈月のなじみのある風景と見間違えそうなほどで、能勢さんが子ども心に親近感を覚えられたがも納得!ながです。
宇奈月を音楽の街に
能勢さんは、宇奈月がザルツブルクのような音楽の街になることを願い、「宇奈月は、日本のザルツブルク」と言い続けてきたがだそうです。平成5年(1993)、温泉街に宇奈月国際会館セレネができてからは、セレネ芸術音楽友の会の一員としてイベントなどの企画に携わり、一流の音楽家を宇奈月に招いてコンサートを開催。宇奈月の人たちは、素晴らしい演奏を身近なホールで楽しみ、音楽に親しんできたがです。
平成18年(2006)、宇奈月町と黒部市が合併したときの記念コンサートで両市町から参加者を募ってベートーベンの「第九」を歌うことになったとき、能勢さんは宇奈月町のとりまとめ役をまかされました。練習を重ね、みんなで作りあげたコンサートは大成功!! このまま終わらせるのはもったいない、と話していたところ、指揮をした横島勝人氏から、「今度はモーツァルトの曲に挑戦してみませんか。」と提案があったがです。
「第九」から「レクイエム」へ
横島氏は、能勢さんの「宇奈月は、日本のザルツブルク」という言葉に共感し、「宇奈月にはモーツァルトが似合う。」と言ってくださったがです。横島氏から提示された曲は、モーツァルトの遺作となった「レクイエム」。自らの死を意識しながら作曲したといわれ、美しい旋律が胸に迫る名曲ながです。「第九」コンサートで大きな感動を得ることができたものの、別の曲に取り組むとなると自信がない・・・と合唱団の皆さんのなかには戸惑いもあったらしいがですけど、横島氏の「わたしが責任を持って指導します。」という力強い言葉に心を動かされ、練習を開始。熱心な指導に応えるように合唱にもますます磨きがかかり、平成20年(2008)12月に行なわれたコンサートは再び好評のうちに幕を下ろしたがです。
コンサートの後、横島氏からは「宇奈月温泉を舞台に、音楽祭をやってみよう。」という新たな提案が。ザルツブルクへのあこがれと、音楽の素晴らしさを肌で感じた人たちの思いが結びついて、「宇奈月モーツァルト音楽祭」のプロジェクトが始動したがです!