古希を迎えて
舟田さんが書道を始められたのは20歳のころ。昭和37年(1962)に職場の先輩の紹介で富山商業高等学校の鶴木大寿先生(のちに富山大学教授)に師事し、以来50年にわたって書の道を歩んでこられました。現在、所属する独立書人団では富山県独立書人団代表、本部役員(評議員)を務めるほか、地元の書道団体等の要職を歴任し、数々の受賞歴もお持ちながです。
各団体の展覧会が年に5~6回、そのほかの発表展示なども含めると年間15作品ほどを制作されている舟田さん。今年(2012年)の1月に第60回記念独立書展で会員賞を受賞した作品「達」は、ご自身が古希を迎えるにあたっての心境を表したものなんだとか。「70歳に到達した、ここまで来れた、という思いでこの字を選びました。最後の一画に勢いがあるということで評価されたようです。」180センチ×180センチの迫力ある大作は年齢を感じさせず、古希を迎えてますます充実する気力が伝わってくるがです。
書風は変化する
書道を始めたころと現在とでは、作風(書風)が変化しているとおっしゃる舟田さん。若いときは200~300字ほどの漢詩を書いておられたそうながですけど、最近は1字、2字の作品が多く、墨も青みがかった淡墨ながです。「書道では、漢字やかな、漢字かな交じり書などいろいろな流れがあるが、わたしは漢字が好きだったので漢字を書いてきました。」
今でも東京の先生に指導を受けておられるそうで、学ぶ姿勢を忘れません。「作品制作の過程で行き詰まったら、ひとりではなかなか解決できない。そんなとき違った捉え方でヒントをもらうと、案外すっと書けたりするんです。」
書道作家として常に向上心を持って作品づくりに取り組み、「人の意見を聞いて、吸収したことが作品に表れる。書き方も変わっていいと思うし、逆に言えば変わらないと進歩がない。」とおっしゃいます。謙虚な気持ちで書と向き合っておられるから、作品も磨かれていくがですね☆
感動を作品に
書の道を究めるため、日頃から鍛練を続けておられる舟田さん。書道の講習会には積極的に参加し、作品のインスピレーションを得るために、本を読んだり、講演会にでかけたりすることも多いそうです。「いいな、と思う言葉があったらメモしておいて、それを作品に活かします。読んだこと、聞いたことのなかから、感じたことを作品に表す。自分の感動がないと、いい作品にはならないんです。」
古典の勉強はもちろん、ほかの人の作品を見て研究することも。「いい作品は、解説などなくても、そこに込められた思いや願いなどが伝わってくる。日頃の勉強が作品に表れると思うし、毎日の積み重ねは修業みたいなものかもしれない。」
体調や心情なども作品の良し悪しに影響するのだとか。「風邪をひいたときや、悩みごとがあるときはあまりいいものが書けない。作品によっては大きな筆で一気に書くので、勢いも必要です。健康がいちばんですね。」自らを厳しく律する姿は、まさしく求道者ながです!