泡立ててまろやかに
それにしても、どうやったら上手にお茶を泡立てることができるがですか?米丘さんにそのコツをうかがうと、「なーん(全然)難しいことないよ。ひざの上でこうやって固定して、茶せんを左右に振るが。ほら、もうできたやろ。」
米丘さんの手つきを見ながら、同じようにやってみたら、さっきよりもいい感じに泡立ってきました。「昔は、塩をほんのちょっと入れるのが普通やったが。今は入れない人も多いけど、私は塩を入れたほうが断然おいしいと思う。」と米丘さん。泡立てるのに使う茶せんも、よく見ると変わった形です。近くの山で採れる「スス竹」(チシマザサ)を使って作られるがですけど、細いから、1本じゃ間に合わなくて、2本つなぎ合わせとるがだそうです。地元の人は、マイ茶碗とマイ茶せんを持って、お茶会に出かけるとか。
竹の茶せんがお茶碗の縁に当たって、コトコトコト・・・って鳴る音が心地よいです♪そのリズミカルでやわらかい響きと、お茶のいい香りで、気持ちもゆったりしてくるがです。
地域の結びつき
お茶を泡立てて飲む風習は、蛭谷集落をはじめ、周辺の新川地区や、おとなり新潟県の糸魚川でも行われとったそうです。茶せんを使うけれども、「茶の湯」とは起源が違うらしく、堅苦しい作法もないがで、庶民のあいだにこの飲み方が広まったがですって!蛭谷集落では、月命日やお講など、人が集まるときには欠かせないお茶で、みんなで集まってお茶を飲むことで、地域の親睦を深めとったがです☆お茶をのみながらのおしゃべりが、質素な暮らしのなかでささやかな楽しみのひとつだったがですね。
バタバタ茶の茶葉生産に携わっておられる朝日町商工会の平木利明さん曰く、「一人で飲んでも面白くない。お茶を飲みながら好きなことを話せば、気分的に解放される。この雰囲気を味わってほしいんです。」バタバタ茶は、おしゃべりも作法の一つながですねっ♪
お茶の葉っぱは地元で生産
バタバタ茶で飲まれるのは「黒茶」と呼ばれるもので、このお茶の葉も自分たちでつくっとられるがです。7月下旬、刈り取った茶葉を蒸したあと、大きな室(むろ)に入れて、約1か月間かけて発酵させるがです。発酵が進むと温度が上がってくるがですけど、熱くなりすぎてもダメながで、時々ひっくりかえしてやらんといけんがです。毎日毎日の温度管理は本当に大変そうながです・・・。
「最初はやり方も分からず、誰も教えてくれなかったから、苦労したよ。1年に1回しかチャンスがないし、できるようになるまで15年かかった。最終的には教わることができたけど、失敗の経験があるから、『そういうことか』って思うことも多かった。」と平木さん。平木さんたちの苦労があって、今でも「バタバタ茶」が続けられるがですね!
なによりも、集まっとられるみなさんの笑顔にほっとします。お茶を飲みながら、まったり、のんびり、なごんでいってください!
【バタバタ茶伝承館】
地元の人と一緒に、バタバタ茶を楽しめる施設です。
富山県下新川郡朝日町蛭谷484
開館日 月・水・金・土曜日(3月~12月中旬、祝日の場合も開館)
開館時間 10:00~15:00
料金 無料
TEL 0765-84-8870
アクセス 北陸自動車道 朝日I.C.より車で20分
(スーパー農道より、小川沿い県道102号線を南へ、看板を目印に左折してすぐ)
お問い合せは・・・
朝日町商工会
TEL 0765-83-2280
ホームページ 株式会社あさひ http://www.shokoren-toyama.or.jp/~batabata/