水槽のなかの序列
アワビは夜行性で、暗いところが好き。片側にしか貝を持たないため、おなか(吸盤)が弱点です。身を守るため、平滑な場所を選んで、くっついていることが多いとか。夕方、エサをまいておくと、暗くなるころ這い出してきます。
熊谷さんいわく、「水槽のなかでも優劣があるらしくて、強いアワビが真っ先に出てきます。1番目のアワビが食べ終わって帰っていくと、次の奴が出てくるみたいです。」最後のほうになると、エサにありつけないものもいて、そのため同じ水槽で育てていても、大きさに差が・・・。養殖といえども、生存競争の試練はあるのですね。
ちなみに、エサは海藻などを1センチ角に固めた配合飼料。大きくなると、深層水で育てたコンブを与えているそうです。
うまいアワビのエサなら、これもうんまいがやろうねぇ…
何を言うとるがですか…!
アワビの成長が楽しみ
稚貝のアワビの貝殻は、緑色をしています。殻の色は食べるものによって変化するので、入善に来てからは黒っぽい色になって成長していきます。それはまさに、熊谷さんの努力の証。「ここでこれだけ成長させたんだ、というのが一目でわかる。それを見るのが楽しみです。」
また、事業スタートの時から頭を悩ませていた深層水の加温コストも、隣接地に建設された工場のおかげで解決の道が開かれました。深層水はそのままでは冷たすぎて、養殖のためには17度程度まで温める必要がありましたが、重油代がかかることが問題となっていました。平成21年(2009)から、工場で温められた深層水を引き込み、養殖に利用することができるようになったことで、コストを大幅に削減。設備も改良し、現在は年間6万個の生産が可能です。「ようやく、軌道にのってきたという手ごたえを感じています。」
大きくなった!成長が目に見えるとうれしいものじゃのぅ!
おいしいアワビをどうぞ
深層水アワビは近隣の旅館などに卸していますが、一般のお客様からの注文もあるそうです。平成22年(2010)の夏には施設前の広場に期間限定で「浜焼き屋」を開き、実際にアワビを食べたお客様の声を聞く機会もありました。「やわらかくておいしかった、と言われ、育ててよかったと思いました。」
深層水アワビのうまみ成分(グルタミン酸)は天然アワビの約3倍、甘み成分(グリシン)は多いときで約21倍も含まれているそうで、コラーゲンもたっぷり。入善町の新たな特産品として知名度も徐々に高まっています。
「これまでは、手探りの部分もあって、死なせないように、ということを中心に考えてきました。今後はいかに品質を良くして、肉厚でまるまると太ったアワビをつくるかが課題です。」と熊谷さん。ますますおいしいアワビ、期待しています!
★熊谷さんの育てた「入善深層水アワビ」は、黒部藩特産問屋で販売中!
お取り寄せ!父上様に買ってもらうがです!!
【入善漁業協同組合(本所)】
富山県下新川郡入善町芦崎338番地
TEL 0765-76-0111
ホームページ http://www.jf-nyuzen.jp/
(2010年12月27日)