あれよあれよ=にわかエコ⇒筋金入りに
たまたま退職後に黒部市役所を訪れた際、「これからは好きな農業をしようと思っている」と話していたら、ちょうど市の直売所「よらーれ」のオープン準備中だったこともあり、その場で生産者の会員登録。富山県のエコファーマーにも申請し、2004年5月に県で146番目の認定を受けられました(5年ごとの更新制)。エコファーマーというのは、環境に配慮した農業に取り組む人のこと。越さんは土づくりからこだわって、減農薬農業を進めておられます。
越誠一さんのおうちは、もともと兼業農家。2004年(平成16年)に教職を退かれた後、本格的に農業に取り組まれるようになりました。その数年前から、安心・安全の農作物生産に関心があり、農業関係の講演や研修会に参加したり、いろいろな農法を試したりされていたそうです。
種から自分で
野菜はほとんど種まきから行い、多いときで60種類の野菜を生産されていたそうです。現在はトマト・キュウリ・ナス・オクラ・キャベツ・白菜・里芋・ネギ・ゴボウ・・・などなど、十数種類の野菜を育てておられます。広い畑には、ひと畝ごとにいろいろな野菜が植わっていました。
越さんは、ボカシ(有機肥料)もご自分で作っておられます。桜の落ち葉、もみ殻、米ぬか、粉砕したカニの殻などを混ぜ、嫌気性発酵させます。
安全なものを食べることで、健康な体をつくることができる。越さんのところで作られたお米や野菜は、アトピーやアレルギー症状の改善にも効果を発揮します。その秘密が「ピロール農法」にあります。
なんと!肥料までご自分で作っておられるとは!市にも安心して食べさせることができるの。あっぱれじゃ!!
ピロール農法
越さんが取り組んでおられる「ピロール農法」。耳慣れない言葉ですが、「ピロール資材」といわれる土壌改良材を使い、すぐれものの微生物「シアノバクテリア」の働きを活発にして、高ミネラルの農作物を生産する農法です。シアノバクテリアが土中のダイオキシンやカドミウムを分解するとも言われ、pH環境を整えるので酸性雨対策にもなります。
水稲(コシヒカリ)の場合は、6月の中旬~下旬の分蘖(ぶんけつ・ぶんげつ)のときに1回、8月初旬の穂が出る直前にもう1回、水を張った田んぼに撒きます。野菜の場合は、収穫までの期間が短いこともあり、種を植える10日前くらいに土に混ぜ、なじませます。
ピロール資材以外にも、越さんは自家製のボカシ、竹酢、にがりなどを使っておられ、極力化学肥料や農薬には頼らないようにしているとのこと。ピロール農法では、多少の農薬なら分解されてしまうそうですが、それでもあえて使わないのは、やっぱり「安全」な農作物を提供するため。越さんの熱意とこだわりに頭が下がります。