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第2回 達人

「藩倉とホタルと新名所①」
中野貴代美さん、花岡宏吉さん

・中野貴代美さん(有限会社中野工業常務)
・花岡宏吉さん(花岡デザイン事務所代表)

第2回 達人「藩倉とホタルと新名所①」中野さん、花岡さん
市姫と殿、石田へ行く。

市姫:父上、わたくしもっと黒部のことを知りたいがですぅ。

太陽の守:ん? どうしたのじゃ、急に。

市姫:このあいだ、生地の松野さんのお話を聞いて、黒部には、まだまだ面白いことがあると確信したがです!

太陽の守:そうであるの。わしもそう思って、松野さんにひとつお願いをしておったのじゃ。

市姫:?? なんでございますか?

太陽の守:城におるばかりでは、なかなか黒部のすべてを知ることはできぬ。松野さんに次の先生を紹介してもらったのじゃ。
ちょうどよい、姫も一緒にまいろうぞ!

お二人がお知り合いになられたきっかけは?

花岡さん:僕は、20年前に横浜から黒部へ引っ越してきました。最初、ここに家を建てたばかりのころ、電気は蛍光灯ではなくて、昔の電球を使っていたんです。そのやわらかい光を見て、前を通りかかった中野さんが気になっておられたようで。家自体も、真っ白で3階建てで、今まであった石田のおうちとはちょっと違っていたので。

中野さん:気になったよ。覚えてる。

花岡さん:その後、桜の運動が起こったんです。黒瀬川の堤に昔、桜があったんだけど、河川改修で全部切ってしまった。地元の人が、それを復活させようと活動を始めたのに誘われて。それで正式に知り合いました。

花岡さんの奥さん特製の焼きリンゴ
花岡さん、思い出す

中野さん:そのころ、わたしは夫婦でお付き合いできる人を探していました。花岡さんのお宅に来るとほっとするでしょ。和やかな雰囲気で、奥様も優しいし。花岡さんは、もともと地元にいらっしゃる方より、よっぽど黒部のことを考えてらっしゃるし、石田のことも考えてらっしゃる。地元だけにいる人は、視野が狭くなって、素敵なところがわからない。うちは主人が群馬なんですが、こんなに素敵なところなのに、なんでみんなもっと活用しないのか、ってよく言っています。わたしは、主人がいるから黒部は素敵なところだと思える。黒部って、本当にいいところなんだよね。

花岡さん:20年前、ひまさえあれば県内をめぐりました。確かに、地元の人より、知っているかもしれない。蜃気楼も見たし。

中野さんと花岡さん

中野さん:花岡さんは、わたしたち以上に黒部のいいところを知っていると思う。ひょうたんひとつ取っても、わたしはただのひょうたんにしか見えないけど、花岡さんなら、「これは、黒部の◯◯でとれて、こうなんだよ」って教えてくれると思う。食べ物のこととかも、すごく詳しい。

花岡さん:20年前に来たときには、外食するところがありませんでした。実はここで、小さな喫茶店でもやろうかと思っていたんだけど、「石田で飲食店やったら必ずつぶれる」と言われて・・・。

中野さん:場所によって、お水がおいしくないことがあるんですよね。

花岡さん:ここらへんだと、桜堤の水が、わずかにしょっぱいというか、苦みがある。でもいいほうです。石田で井戸を掘っても、あまりおいしくない。海水が混ざっている感じで。

中野さん:うちはおいしいよ。本当は、倉の横にも井戸を掘りたいんですが・・・。

中野さんの石田への思い
ひょうたん

倉では、どのようなことをされていますか。

石田の倉

中野さん:最近、倉で何人か集まって、リース作りをしました。楽しかったけど、トイレがないというのがネックで。トイレは前々から必要だと思っていたんですが、いよいよ作ろう!と思って、今はいろいろな人にお話をして、ご意見を伺っているところです。

花岡さん:だけど、あれがもともと加賀藩の藩倉だったとは知らなかったな。

中野さん:中には、古いものがたくさん残っています。もとの所有者の方の長持とか。明治時代ぐらいの花嫁衣裳もありました。あと、綿も。全部打ち直してあるので、必要な方はどうぞ。

花岡さん:トイレは、中ですか、外ですか?

中野さん:外につくろうと思っています。でも、ただトイレがあればいいってもんじゃないわ、と思っていて、人が見たいって思うものをつくりたいんです。トイレをわざわざ見に来る人を狙って。東布施に、古いお家があって、その格子戸を使ってつくったら素敵なのに、という構想はあるんだけど。くれる人いないかなぁ。あれをどう生かすか、っていうのはわからなくて、ただ、社会貢献をしたい、っていう思いもあって。

花岡さん:古い民家の柱とか、いいよね。

中野さん:古いのを壊して、持ってきて、となっても、予算はそれほどない。トイレのためにそこまでするかって言うと・・・。資金もゆったりあって、気持ちにも余裕があれば、素敵なことがいっぱいできるんやけど。でも、石田の名所にはしたい。倉は、みんなが集えるようなものにしたい。

中野さんの所有する蔵
蔵の中
中野さんと花岡さん

殿、どんなトイレができるか楽しみ♪

花岡さん:嘉例沢に最後に残っていた家の材木を、黒部市が保管しているという話を聞いたことがあります。今はどこにあるのか・・・。

中野さん:それ、使わせてもらえるんでしょうか。・・・人に会って、しゃべると、「そういうのもあるんだよ」って教えてもらえる。そういうところで、ひとりよがりじゃだめだって、思います。いくらアンテナを張って、電波を出していても、誰もキャッチしてくれない。会って、自分の思っていることをお互いにしゃべることによって、それだったらこういうのがあるよ、って。もしかしたらその材木も、ほかにも使いたい人がいるかもしれませんし。

花岡さん:今度、そういうアイディア、力を持っている人を探して、仲間になってもらいましょう。僕にもひとつアイディアがあって、水琴窟なんかどうかな、と思っていたんですが。

中野さん:水琴窟だけ見に来る人もいますよね。中野さんのところに行ったら、水琴窟が聞けるよ、って言われるようになったらいいな。

昨年、倉のお庭でホタルが見られたそうですね。

中野さん:ゲンジボタル。100匹ぐらいいたと思います。あの感激は絶対忘れないと思う。

花岡さん:5~6年前には桜堤でホタルの計画もあって、あのころはうちの裏の庭にもひとつふたつ飛んできていました。すごい、と思って見ていたけど、でも、ヘイケはやっぱり小さすぎて。

中野さん:寂しいよねぇ。ゲンジを見てしまうと。

花岡さん:去年、中野さんのところで、あれだけのホタルを見ることができてよかった。

中野さん:九州のホタルも見に行きたい。一瞬ぱぁっとホタルが飛んで、ふっと消えるの。

花岡さん:東南アジアではそういうのが多いみたいですね。木に、全部ホタルが止まって、イルミネーションみたいになる。

中野さん:ホタルツリーって言うんだって。

花岡さん:そうそう。

中野さん:見たことある?って聞かれて、まだない、と。うちはまだ、ホタルが飛んで1年目だし。すっごい素敵だって。ああいう環境って残してやらなくちゃね、子どもたちに。

花岡さん:中野さんのところのホタルは、みんなで、大切に育てていかなきゃ。僕が来たころ、20年前にはパティスリー・ジュメル(牧野)のあたりにもホタルがたくさんいた。横の川の・・・、大通りのプラタナスのあたり。そういうのも、地元の人は当たり前に思って、たいして見ていないんじゃないかな。

中野家外観
中野家の庭
花岡さん
中野さん
植物

中野さん:わたしは孫が生まれてから、孫は、なにかの縁で、わたしたちを選んで、来てくれた。子どもたちに何が残してやれるか、っていったら環境しかないんじゃないかな、と考えるようになりました。あそこに倉があって、このままにしておくのは面白くないから、ホタルでも飛ばせたら嬉しいよね、と思ったのが叶って。そうしたら子どもがすごく喜ぶの。こうやって手に乗せて、触れるし、返してあげてね、っていうのもわかってくれるし。みんなに見せてあげたいけど、反対にこわい気持ちもあります。踏み荒らされるかも、って。でも、こっそりしておくのも、もったいない。

花岡さん:そういう危険はありますよね。

中野さん:心境的には複雑。でも、みんなでやらないと、もしかしたら意味がないんじゃないのかなって思う。ひとりよがりじゃ・・・。これってみんなが思わないと、「中野さんところで、あんなことやっとるんや」って思われるだけなのかな、って。主人の群馬のお友達で、川をきれいにした人がいます。一歩から始めて、それがみんなに広がって。その人にはカリスマ性があって、みんなをひきつけるようなところがあったけど、わたしにはないから、人を巻き込むことができなくて・・・だから、自分で動こうと。みんなで、新しい名所をつくるのもいいかな、って。石田って、いっぱいありそうで、わたしはわからなくて。まち歩きの話を聞いたときも、どこ見るが、と実際には思ってた。古い名所もいいけど、今わたしたちが住んでいるところで、今のわたしたちの思いで、人が呼べたら嬉しいな、とわたしは思うの。

市姫、ほたるが見たいなあ。