市姫:父上、このあいだ食べたサンマのぬか漬け、おいしゅうございましたぁ。
太陽の守:気に入ったか。脂がのって、焼いて食べると香ばしく、塩加減も絶妙であったのぅ。
市姫:思い出したら、また食べたくなってきた・・・。
太陽の守:あれは、生地の浜でつくっておるのじゃ。
市姫:いくじ・・・?
太陽の守:城からは遠いからのぅ。知らぬのも無理はないが。
市姫:その、「いくじ」に行けば、サンマをおなかいっぱい食べられるのですね! わたくし、行ってきます!
太陽の守:・・・そなたも、言い出したら聞かぬからのぅ。・・・ならば、まいるか!
海岸沿いに灯台を目指してやってきた殿と姫。大きな木造の建物を見つけました。
市姫:ここですかぁ・・・。どなたかおられますかぁ。
おばあさん:あれあれ、どうされたがぁ。・・・まあ、太陽の守さま、市姫さま!!
市姫:サンマのぬか漬け、欲しいがだけど・・・。どこ行けばいいがかなぁ。
おばあさん:こっち入って休んどられ。・・・すぐ用意するちゃあ。
市姫:・・・ここは?
松野さん:遠いところをようこそ、いらっしゃいました、太陽の守さま、姫さま。
市姫:あなたは?
松野さん:ここの主、松野です。ここは、まちを歩いておられる方々に、お休みいただけるように、しつらえた場所でございますよ。殿さまも姫さまもお疲れでしょうから、中で休んで行かれませ。