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優勝記念 特別インタビュー

「"サッカーが好きになる"指導を続けたい〈後編〉②」
大塚一朗さん

(富山第一高等学校サッカー部監督)

特別インタビュー「”サッカーが好きになる”指導を続けたい〈後編〉②」大塚一朗さん

緊急特集 全国高等学校サッカー選手権大会優勝!富山第一高校サッカー部 大塚一朗監督 優勝記念特別インタビュー

指導者への道

「10年ほど前に横浜中華街でたまたま手相をみてもらって、『49歳で人生が変わるような出来事がある』と言われたことがありました。実は今、49歳なんですよ」と笑顔で語る大塚監督。指導者としての原点は、若き日の英国での「放浪」経験だったそうながです。
大学を卒業して実業団チームに加入しましたが、2年で実質解雇となり挫折を味わいました。「誰も頼れない海外に出掛ければ、自分がどんな人間なのか分かるかもしれないと思いました。サッカーの指導者ライセンスの取得を口実に、家族から了承をもらって英国に渡りました」。25歳だった1990年に約1年間滞在し、そこで大塚さんのサッカー観は大きく変化したがです。
サッカーの聖地とも呼ばれるロンドンのウェンブリー・スタジアムで試合を観戦し、10万人もの観衆が集まる雰囲気に触れて、大塚さんの思い描いていたサッカーのイメージが変わりました。ある時には草サッカーチームでプレーもしました。メンバーには中高年が多く、中には60歳のおじいさんもおられましたが、高校生と真剣勝負をしている姿に、サッカーは年齢に関係なく楽しめるものなのだと気づかされました。さらに、その年にはイタリアでW杯が開催され、バックパッカーとして駅で野宿などもしながら13試合を観戦したそうです。
「サッカーの楽しさを知り、もう一度プレーしてみたい、指導してみたいという気持ちになりました」
と振り返ります。こうして、ヨーロッパの指導者ライセンスを取得して帰国されたがです。

大塚監督

社会におけるサッカーの役割

その後大塚監督は、アローズ北陸(北陸電力サッカー部)の選手、コーチとしても活躍。1995年の福島国体では富山県選抜の選手兼監督として優勝も経験されました。成年女子の県選抜の指導にも携わり、1998年の神奈川国体で準優勝。2003年には監督として富山北FCを全日本少年サッカー準優勝に導きました。2005年、2006年はアルビレックス新潟シンガポールの監督を務め、2008年から富山第一高校のコーチに、そして2012年に監督に就任されたがです。

障がい者サッカーの交流試合 アミザーデサッカー大会

現在、富山第一高校サッカー部は毎年、富山市で開かれる障がい者サッカーの交流試合“アミザーデサッカー大会”に協力しとられます。ハンデを抱えながらもサッカーを楽しむ人たちとのプレーは、彼らにとって相手に対するリスペクト(敬意)を養う機会にもなっておるそうで、監督は非常に大切にしておられます。その理由も教えて頂きました!
監督が過ごした英国には、“足のないカール君”という実話があります。カール君は足こそ不自由だったものの、サッカーが大好きでした。ある日、そんなに好きならばと健常者のチームが手を使ってもよいという特別ルールを設けてくれ、一緒に試合を楽しんだそうながです!
また、脳性マヒ患者のリハビリの一環として、超一流のサッカー選手がシュートを打ち、その音を患者さんに聞かせている場面にも出くわしたそうです。
様々な境遇や状況を受け入れる懐の深さ、豊かな人間性。スポーツの枠組みを超えてサッカーが社会に関わる理想像がそこにあり、大塚監督の指導に大きな影響を与えておるがです。

障がい者サッカーの交流試合 アミザーデサッカー大会

黒部太陽の守:サッカーには不思議な力があるのじゃな。

サッカーが好きになる指導を

「優勝が目標ではあっても、目的ではありません。選手たちが3年間の活動を通じ、サッカーをもっと好きになり、サッカーは楽しいと思って卒業して行ってほしい」というのが大塚監督の指導におけるポリシーながです。選手の自主性を育てる指導方針も、「自分で考えてやるほうが楽しい」という考えに基づいとるがです。
また、チームは定期的に英国遠征を行っています。強化事業である以上に、本場のプロの試合を観戦したり、同年代のチームとゲームをしたりして見聞を広めることに意義を見い出して続けておるがだそうです。これには「僕が味わった感動を、彼らにはもっと若いうちに経験させてあげたい。」という思いが込められとるがですよ。
「今までやってきたように、これからもサッカーを好きになるような取り組みを続けていきたいと思っています。卒業後もサッカーに何らかのかたちで携わるファミリーが増えていくことが願いです」。大塚監督と選手たちにとって優勝は、人生においての分岐点であり通過点ながかもしれません。

富山第一高校サッカー部

これからも第一高校サッカー部のプレーを楽しみにしてます!大塚監督、ありがとうございました☆

(2014年04月28日)