チームを作る「ダイヤモンドナイン」
チームでは毎年春に行動指針ともいえる「ダイヤモンドナイン」を選手たち自身で決められるそう。これは、日本一になるために必要な要素を9つ決めたうえで優先順位をつけ、ダイヤモンド形に並べたものながです。全国制覇を達成した前年度のチームは、一番上の頂点に「感謝」という言葉を置き、「勝つ」は一番下にを置いていたそうながですよ。
決める際には、まず選手全員が10人ほどのグループに分かれて議論し、それぞれの「ダイヤモンドナイン」を作成します。そしてグループごとにプレゼンテーションを行い、全員の投票によって一つの案を選ぶがです。大塚監督曰く、「押しつけではなく、彼ら自身が決めた目標に向かって1年間やっていく。正解はなく、優先順位を付けるにも理由づけが必要になります。みんなでしゃべって議論する機会としても貴重だと考えて続けています」という事ながですって!
秘密兵器「PK職人」
日々の活動で育んだ自主性は、全国大会でも存分に発揮されました。1回戦の長崎総科大附属高校戦では退場者を出して相手より1人少なくなりながらも、フォーメーションを変更しながら競り勝ちました。決勝の星稜高校戦での劇的な逆転勝ちも、残り時間が少なくなっても慌てずに適切な攻め方を選択したことによって、もたらされたがです。そんな選手たちの冷静で、たくましい姿に多くの県民が驚かされたがですよ。
大塚監督は一つのエピソードを明かしてくれました。“PK職人”として準決勝の四日市中央工業高校戦に出場して勝利に貢献したGK田子真太郎選手のお話です。富山第一高校は前年の全国高校総体、全国高校サッカー選手権でいずれもPK戦で敗れていました。この為、雪辱を果たすべく、PK戦で勝つための準備を進めていたがです。そこで白羽の矢が立ったのが田子選手ながでした。体が大きい彼がGKなら、相手キッカーに大きな重圧をかけることができます。しかも、大学生との練習でもPKを何本も止めた彼を、監督は秘密兵器として鍛えたがです!!
チーム全員でつかんだ日本一
そして初めて田子選手に出番がまわってきたのが国立競技場での準決勝。この時、相手チームの各キッカーがどちらに蹴る確率が高いのか調べたデータが伝えられていたにもかかわらず、彼はそれとは逆に飛んで見事にPKを止めました。
交代でピッチに入った時に相手ベンチから、「あいつが出て来たぞ」という声が聞こえたそうです。田子選手は相手も研究していると考え、とっさの判断で裏の裏をついたがでした。試合後に彼からこの理由を聞いた大塚監督は驚きました。「ベンチからの指示を無視してでも、自分の信じる方を選んで勝利をつかみ取ったわけです。ずっと伝えたかった自主性を、彼らは自分のものにしていました」。
とはいえ、自主性だけでは優勝するのは難しい。大塚監督も、優勝できた理由を一つに絞ることは難しいと言います。でも、しいて言うなら「選手たちがまとまり、勝ちたいという気持ちが一つになったこと」ながだそうです。大会中監督は、「途中で苦しくなったらスタンドで応援している3年生を見ろ」と、よく口にしとられたそうで、決勝では大塚翔キャプテンが同点となるPKを決める直前に、スタンドに目をやり気持ちを落ち着かせていたそうながです。プレーする11人だけでなく、ベンチメンバー、スタンドから応援したチームメートの全員でつかんだ「日本一」やったがですね♪