懐かしのアンパン
清水製パンさんが創業されたがは、昭和24年(1949)のこと。創業者である清水賢二さんは戦前、体育と社会を教える学校の先生だったが。戦後になって、「元気な子どもを育てる」ことを目的に、国の食生活改良事業でパン食が推奨されたことから、農協のもとでパン加工工場としてパンづくりを始められたがやって。以来、近隣の商店や売店などへの卸しと、昭和28年から始まった学校給食をメインにパンづくりをしておられるがだけど、給食のごはん(米飯)とか、お餅や赤飯、おまんじゅうなども作っとられるがよ。
工場のなかにはたくさんの機械が並んどって、パン生地の種類によって粉を混ぜる機械とか、焼く窯(かま)も違うがだって。フランスパンは専用の窯で、固くならずにパリパリに焼き上げることができるから、食感も別格ながよ。
毎日いろんな種類のパンを作っとられるがだけど、そのなかでもアンパンに緑色のようかんがかかっとる「ヒスイパン」は、50年以上前から売れ続けている看板商品。最近はご当地パンとして有名になっとるがよね♪
失敗から生まれたロングセラー
初めての人にはかなりのインパクト(@_@;)!!がある「ヒスイパン」だけど、このパンが生まれたのは本当に偶然だったがよ。きっかけは、アンパンに焦げ目が付いてしまったこと。昭和30年ごろのことで、商品にならないからと言って捨てるのはもったいない・・・という時代。和菓子製造もしていた清水さんの工場で、たまたま横にあったようかんを表面に塗って出したのが、今の「ヒスイパン」の原型ながやって。
「ヒスイパン」っていう名前になったがは、時代も下って昭和59年(1984)のこと。賢二さんは、体育協会の活動でバレーボール競技の普及にも力を入れておられて、朝日町で第1回ビーチバレーボール親善交流会があったときに、地元の「ヒスイ海岸」にちなんで、「ようかんパン」から「ヒスイパン」という名前に変えられたがだって。
朝日町のパンだからヒスイなんでしょ、って思う人も多いかもしれんけど、狙って作ったわけじゃないが。ようかんの色は最初から緑色だった、っていうから、「ヒスイパン」が生まれたがは運命だったがかもしれんね。
じっくり発酵でおいしさアップ
清水製パンさんのパンは、「生地がおいしい」って評判!! その秘密は、ルヴァン種。低温長時間発酵で生地を寝かせているあいだに、乳酸発酵でアミノ酸や有機酸などのうまみ成分が生成されて、パンを風味豊かにしてくれるがやって。「乳酸発酵」っていうと分かりづらいかもしれんがだけど、要するに漬け物がおいしくなる原理と一緒。ルヴァン種の働きによって、噛めば噛むほど味わいがある、おいしいパンが作れるんやね。
ふくらんできた生地を成形して、アンパン、クリームパン、ジャムパン、コッペパン、・・・ってどんどん作られていくがよ。あとはオーブンで焼くだけ! ヒスイパンは、基本的にはアンパンの作り方と同じで、最後にボウルいっぱいのできたてようかんに、パンをひとつずつ浸して、仕上げていくが。コツを伺ったら、「リズム感」が大事ながやって。つやつやの緑色がキレイで、ますます輝いて見えるやろ☆
ホントにおいしいから、食べたことない人も勇気を持ってトライしてみてね!
取材させていただいたお店・品 | 清水製パン ヒスイパン |
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価格 | 1個 126円 |
TEL | 0765-74-9106(ピエール直通) |
住所 | 入善町椚山1336(コスモ21内) |
備考 | ※ヒスイパンは、入善ショッピングセンター コスモ21内「ピエール」(清水製パン直営店)で販売しています。(地方発送可)
〈営業時間〉 |
(2012年4月13日)