明治から続く伝統の酒蔵
皇国晴酒造さんの歴史は、そうとう古いらしいが。はっきりした文献は残っとらんがだけど、明治20年(1887)ごろには、今の場所に酒蔵があったらしいから、そのときから数えてもかれこれ120年の伝統があるがよ。
もともとは「岩瀬酒造」っていう名前だったがやけど、昭和の初めごろに世の中の流れもあって、「皇国晴酒造」って名前に変えられたがやって。昭和40年代には、皇国晴さんの「生一本(きいっぽん)」っていうお酒が富山の銘酒として知られるようになって、一躍知名度もアップ!「黒部生まれのうまい酒♪」ってコマーシャルソングがよーくテレビで流れとったから、今でも耳に残っとる人は多いと思うな。
「幻の瀧」が生まれたがは、昭和59年(1984)頃。お米と麹(こうじ)と水だけでつくる純米酒にこだわって開発されたがだって。黒部川の源流に近いところにある滝から名前をとったらしいがだけど、雄大な黒部峡谷の自然や、流れ落ちる清冽な水をイメージさせるようで、ぴったりやちゃ☆
自慢の名水で仕込む
皇国晴さんの自慢は、なんと言っても「水」。日本広しといえども、「名水」が自噴する井戸を敷地内に持っとる酒蔵は、ここだけなが!!こんこんと湧き出る黒部の名水が、皇国晴さんの酒造りを支えとるがやね。
酒米もいろいろ使っとられて、いわゆる酒造用米の「山田錦」、「雄山錦」、「五百万石」や、富山県で開発された「富の香(とみのかおり)」のほかに、「コシヒカリ」や「てんこもり」とかも使ったりするんやって。難しいことはよく分からんけど、日本酒は麹や酵母がうまいこと反応して、アルコールをつくっとるがよ。生き物の作用だから、水や空気も含めて蔵との相性ってもんがあるらしく、皇国晴さんの蔵でおいしいお酒ができるにはどれが一番いいか、常に研究を続けられとるがよ。
酒造りのシーズンは、11月から3月ごろまで。蔵で発酵中のようすを見せてもらったがやけど、もろみからいっぱい泡が出てくるが。それは、ちっちゃい酵母が糖分をパクパク食べて、すっごいがんばってお酒をつくっとる姿で、それを想像したら愛おしくなってくるちゃ。
黒部に来て、黒部を味わう
幻の瀧は、名水仕込みのすっきりとした味わいが特徴。飲み口はさっぱりしとるけど、ふわっと華やかな香りもあって、ほんのり残る後味もいいが。大吟醸は、香りを楽しむなら冷やして飲むのがオススメかな。
日本全国、お取り寄せはできるんやけど・・・、皇国晴酒造さん的には、「ここ黒部に来て、黒部の空気にふれて、富山湾のおいしい海の幸と一緒に味わってほしい!」っていうのが本音。うまい酒を育んだ黒部の自然を感じて、地元のおいしいもんと一緒に召し上がってもらうことで、単に商品だけじゃなくて、思い出も一緒に持ち帰ってくれたら、という思いを持っとられるが。
水がおいしいところは、お酒も、食べものもおいしいがよね。豊かな自然の恩恵を受けて、富山の風土のなかで造られる皇国晴さんのお酒は、やっぱり富山のおいしいものとの相性がピッタリながよ。ぜひ黒部にいらっしゃって、きっときとの海の幸と一緒にどうぞ!!
取材させていただいたお店・品 | 皇国晴酒造 幻の瀧 |
---|---|
価格 | 大吟醸(720ml) 2,247円 |
TEL | 0765-56-8028 |
住所 | 黒部市生地296 |
備考 | http://www.mabotaki.co.jp 〈営業時間〉 8:00~18:00 〈定休日〉 日曜・祝日 |
(2012年2月16日)