薬としての飴
芦崎製飴所は黒部の清水の里、生地にある飴屋さん。創業されたがは明治の中ごろで100年以上の歴史があるお店ながよ。飴というと丸くて色とりどりの飴玉、飴ちゃんを想像するけど、芦崎さんの笹飴は笹の葉1枚にペッタンコに挟んである琥珀色の飴なが。
昔は甘いものが貴重で、一般の人からするとめったに食べられない珍しいものだったんやって。飴には病後の栄養補給や疲労回復、滋養強壮や胃腸の活性化作用もあると言われとって、お菓子というよりは薬や健康食品のような扱いをされとったとか。だから、芦崎さんの笹飴は、今は黒部のおみやげ屋さんに行けば手に入るけど、ちょっと前までは薬屋さんで売られとったが。苦い薬を飲むとき一緒に舐めて飲みやすくしたり、飴を包んでいる干した笹の葉(クマザサ)が生薬として使われたりすることを考えると、芦崎さんの笹飴もお菓子というよりは薬として考えられとったがやね。
穀物から作る飴
芦崎さんの笹飴は麦芽とデンプンから作る麦芽飴。そもそも飴にはいろんな種類があって、砂糖を加熱し、溶かして冷ましたものとか、水飴に砂糖などを加え、煮詰めて冷やし固めたものとかあるが。だけど、もともと飴は米や麦などの穀物から作るものなんやって。
飴の歴史は古くて、奈良時代にさかのぼるが。お米や麦など糖分が多い穀物から作るのが一般的で、砂糖を使って作る飴は、飴の歴史の中ではごく最近のことながよ。今では当たり前のようにある砂糖が、日本の歴史に登場したがは江戸時代の中ごろのこと。きっと、甘いものに対する感覚も今と昔ではかけ離れたものやと思うがよ。砂糖がない昔の人たちは知恵をしぼって、時間と手間ひまかけて甘いものを作っとったがやろうねぇ。
芦崎さんの麦芽飴は、砂糖や甘味料を使わない無添加無着色の飴なが。昔ながらの伝統的な製法の麦芽飴づくりには、日本人の知恵が詰め込まれとるがよね。
伝統を受け継ぐ職人の味
芦崎さんの飴づくりは2日間を要します。初日は原料の麦芽とデンプンを煮たてたものを大きな樽にいれて寝かせるが。一定の温度でじっくりと甘さを引き出したら、次の日、大きな鉄鍋に入れてまた煮たてるが。これが最初は灰色をしとるけど、約8時間煮たてていくうちに透き通った琥珀色に。芦崎さんは朝から夕方までつきっきりで、アクをとったり、火加減を調節したりと大変な作業を一人でこなされるがよ。さらに鉄鍋の中で煮ている間は飴が液状ながで、それが冷めた状態を予想して火からあげんなんがやけど、 このタイミングの見極めが大切なんやって! 火からあげた飴は桶に入れて冷まして、一口大にちぎって笹に挟むと笹飴の完成。
芦崎さんの笹飴は麦芽とデンプンから作るから、砂糖を煮て作ったものとは違って粘りが強いのが特徴なが。歯にひっつく!と、よく言われるそうやけど、それが飴、本来の持ち味ながよね。一度に食べると口の中が大変やから、笹の葉一枚に包まれた飴を半分に割って口に入れて、かまずに舐めることをお勧めすっちゃ。
しっかりとした甘さのなかに懐かしさを感じる味わいながよ。黒部で唯一の飴屋さんがつくる伝統の味、みなさんも是非おためしください(*^_^*)
取材させていただいたお店・品 | 芦崎製飴所 笹飴 |
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価格 | 250円〜 |
TEL | 0765-56-8071 |
住所 | 黒部市生地山新921 |
備考 | 〈営業時間〉 8:00~19:00 〈定休日〉 土曜日・日曜日・祝日 ■魚の駅生地でも常時販売 〈場所〉魚の駅「生地」 〈住所〉富山県黒部市生地中区265 〈TEL〉0765-57-0192 〈営業時間〉9:00~18:00 |
(2012年7月9日)